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文化の殿堂
鳥取県米子市にある文化財的価値の高いホール「米子市公会堂」。
さまざまな音楽会、演劇、講演会が開催されるホールで、市民に親しまれている施設です。
米子の中心街に位置する場所に建てられ、市内の小中校に通う学生は一度は訪れる場所でもあります。
舞台備品、音響、照明システム等充実しているので、利用者への貸出も行っており、様々なイベントに対応しています。
米子市公会堂
公会堂とは
元々公会堂とは講演会・雄弁会等を晴雨にかかわらず開催でき、営利性と無関係な会場として、1918年に日本初の公会堂「大阪市中央公会堂」が建設されました。
公会堂の目的はあくまでも講演や式典を行う場でしたが、戦後は芸術公演も行われるようになりました。
都市部の公会堂はシティ・ホールやタウン・ホールという呼び名になっています。
小公会堂の多くは公民館や類似した施設へと変わり、専用のコンサート・ホールが特設されました。
米子市公会堂をはじめ公会堂は地方自治体による公営の他に、地区住民自治組織で設ける民営のものも存在します。
大都市では音楽愛好家たちの間でも公会堂の設置要望が強まり、世界的名演奏家・名独唱家や日本の交響楽団等の公演が全国各地で講演可能になりました。
展示室・図書室・映写設備・ホアイエ・軽食堂なども入り、地域の憩いの場として親しまれています。
歴史
米子市公会堂は山陰地方初の公会堂であり、市制30周年の記念事業として建設され、1958年(昭和33年)に開館しました。
米子市公会堂にはある逸話が残されており、戦前からの米子市民の強い願いで、「一世帯が毎日1円を貯めて公会堂を!」という市民運動まで巻きおこりました。
その結果、公会堂建設費用として3千万円の寄付が集まったといいます。
2014年に耐震補強工事が行われ、リニューアルオープン。
ホール棟はコンクリート屋根を撤去し軽量化、玄関側の内装は厚さ15mから50cmに強化されました。
天井や音響、空調設備座席も一新しましたが、座席数はリニューアル前と同じ1120席に加え、車椅子席6席が増設されています。
このリニューアルの際にも市民の方々からの募金で1000万円余りが集まりました。
さらに「一世帯200円運動」の元、715万円が集まり、市民の公会堂にかける思いが伝わります。
一時は存続が危ぶまれるも
2006年、突如として「設備更新に6億円、維持か閉鎖か」という報道が流れ、市議会では財政負担を心配しての存続慎重論が根強かったようです。
また、鳥取県西部地震の際、米子市公会堂への被害はほとんど無く、強固であることを広めるために市に耐震調査を行うことに。
その結果、2009年に耐震強度不足が判明し、存廃の激論が巻き起こりました。
市民アンケートでは45.4%が存続、38.2%が廃止と結果がでましたが、それでも存続に否定的な答弁が目立ったため、公会堂存続にかける約5万人もの署名が集まったことで存続が決定されました。
この決定により、2014年に耐震補強工事が行われました。
こけら落としの際は地元の音楽家によるコンサート「祝演」が公演されましたが、リニューアル記念では市民が中心になって企画したバレエ「くるみ割り人形」の全幕公演が行われました。
建築家・村野藤吾
米子市公会堂は少々変わったデザインをしており、なぜこんな形なんだろうと思った人もいるでしょう。
それは日本を代表する建築家である村野藤吾氏が、グランドピアノをモチーフに設計しています。
村野氏は広島平和記念聖堂や、そごう百貨店心斎橋本店などを手がけたことで有名な建築家で、「一世帯が毎日1円を貯める」運動に感銘を受け、自らも設計料を返上してます。
米子市公会堂のリニューアルの際にも村野氏は関わっており、改修設計も手掛けています。
外観は竣工時のイメージを保ちつつ増築を行いながらも、一方で、ホール天井やホワイエの内装は当初とは大きく変化しています。
同じ設計者によって改修が行われた建築物は珍しく、この公会堂は"村野によって2度つくられた"建築とも言われています。
外観デザイン
ブラジルの明るいラテン風の教会と、美しい旋律を奏でるグランドピアノをイメージして造られました。
米子市公会堂はホールと2階建ての集会室棟から構成されています。
舞台とプロセニアムアーチは、傾斜をもつ客席とホールの形状が外観からでも見えるようになっています。
わずかに湾曲させたゆるやかな曲線をもつヴォールトには、亀谷窯業の石州瓦を特注で焼成させた赤褐色のタイルが張られ、客席の段床とそれを支える柱は、梁の構造要素がホワイエから放射状に広がりながら大きく迫り出しています。
施設の周囲は繁華街の中心部でありながら、森に囲まれたような雰囲気も米子市公会堂の魅力です。
日建設計
リニューアルの際に改修設計を行った会社のひとつ「日建設計」。
公会堂の雰囲気を残しながら、耐震補強を行いかつ建物としての性能を向上するという非常に難しい仕事です。
屋根の接合部の剛性が不足、客席部分が地面に接していないことによる荷重の伝達が不適切、ホール天井の落下防止、屋外の音が聞こえなくするための静粛性、外装も劣化など数々の課題を抱えていました。
3次元で複雑、かつ当時の図面が誤っていたホール天井は3次元スキャナーにより正確に再現。
内装もリニューアル前に使用していた素材を再利用して、雰囲気や手触り感を受け継いでいます。
換気口を改修と空調機器の更新することで静粛性の向上になりました。
更なる機能向上を目指して、天井の下地材や床仕上げ材を工夫するなど単なるリニューアルに留まらないのが日建設計の強みでもあります。
コトブキシーティング株式会社
映画館・劇場などのシート、会議室の机や椅子、カプセルベッドの販売を行う「コトブキシーティング株式会社」。
米子市公会堂でもこの会社の製品が使用されています。
リニューアル前よりも広い間口と立ち座りのし易い座面のものになり、座り心地感がアップ。
肘掛けなども木調になり、高級感を演出。
シートは既存のイメージを踏襲した黄金色のモケットを再現。
モケットは音を吸収する特徴を持っているので、オーケストラなどと相性の良い張地です。
また、人が多く座ることで、目に見える張地の色が変化するという特徴を持っていおり、非常に耐久性に優れています。
2018年4月に60周年を迎えた
米子市公会堂は2018年4月に60周年を迎えました。
その記念企画として、BLACK BOTTOM BRASS BAND(以下BBBB)のスネア担当"SEIYA(横田 誓哉)"さんの地元でもという事もあり、米子市公会堂開館60周年とBBBBと結成25周年を記念して行われた【わっしょい米子祭り】が開催されました。
わっしょい米子祭りは1回だけの企画では終わらず、2019年10月12日『第2回わっしょい米子祭り』の開催が決定しました。
米子の音楽文化をより身近に感じて貰うため、BBBBと地元の音楽団体とのコラボレーションを楽しむことができます。
下記の記事ではBBBBとわっしょい米子祭りの魅力を紹介しています。
他施設との比較
米子コンベンションセンター BIGSHIP
米子市には様々な公共施設がありますが、「米子コンベンションセンター BIGSHIP」もそのひとつです。
学会や講演会をするに適していますが、元々が音楽・演劇用のホールでは無いため、座席が可動式のために座席下は空洞となっています。
そのため、クラシックなど生の音が抜けやすい特性をもってます。
また、演劇公演に必要な舞台袖がなく天井の吊バトンもないため演劇公演にも向きません。
そういった理由もあり、吹奏楽やオーケストラ、マイクを使わない演劇公演などは公会堂向きといえます。
米子市文化ホール
「米子市文化ホール」は、音楽・演劇ホールではありますが、客席数が672席と公会堂よりも少なめです。
催しによっては、採算入場者数が800名や1000名という場合は、客席数が足りないため採算がとれないので会場の候補から外れてしまいます。
この他にも文化ホールは人気のホールで、稼働率が62.4%(19年度)、市民参加の催し物が多い土日・祝日は100%に近い稼動率になっています。
そのため、公会堂が使用できない場合は文化ホールに会場を移せないといった状況があります。
施設情報
大ホール
グランドピアノを設置。
音楽演奏会、演劇、映画、式典、講演会などに利用可能。
・一般席 1,120席/車椅子スペース 6席
※使用料は時間帯・冷暖房の使用などで変動します。詳細は公式ホームページ「料金案内」にてご確認下さい。
大ホール(固定席1,120席)使用料 | |
---|---|
平 日 | 8,640~73,440 |
土・日・祝日 | 10,800~87,480 |
楽屋使用料 | |
---|---|
平 日 | 160~1,080 |
土・日・祝日 | 100~1,290 |
リハーサル室使用料 | |
---|---|
平 日 | 540~3,510 |
土・日・祝日 | 1,180~4,150 |
集会室・和室
会議、講演会、研修会ほか展示会などに利用可能。
和室は24畳ですが、9畳と15畳の2室に分割することができます。
なので、会議だけでなく舞踊の練習などにも利用できます。
※使用料は時間帯・部屋の大きさなどで変動します。詳細は公式ホームページ「料金案内」にてご確認下さい。
集会室・和室使用料 | |
---|---|
平 日 | 100~5990 |
土・日・祝日 | 210~7,120 |
ホワイエ・前庭
演奏会、展示会だけでなく、音楽、演劇、ダンスの練習などに利用可能。
前庭も開放的な空間として、さまざまなイベントに活用できます。
住所 | 鳥取県米子市角盤町2-61 |
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TEL | 0859-22-3236 |
営業時間 | 9:00~22:00 |
閉館日 | 大ホールのみ毎週火曜日(大ホール以外は開館。 火曜日が祝日の場合は大ホールも開館)・12月29日から1月3日 |
席数 | 大ホール 一般席 1,120席/車椅子スペース 6席 |
URL | http://www.yonagobunka.net/publichall/ |
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