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風景写真家・地域活性プロデューサーの柄木孝志さん
写真家・カメラマンとしての柄木孝志さん
地域を伝えるスペシャリストになろうと考えたのがスタート
現場での仕事を経験するなかで、カメラマンの仕事に興味をもち、最初は趣味として始めたものが、やがては本格的になり、今現在に至っています。
こちらにIターンで来た頃は、まさかこんな仕事に就くなどと考えてもみなかったのですが、地元の美しさ、素晴らしさが地元でさえきちんと伝わっていない状況に疑問を覚え、ならばと自分がやってきた情報発信というジャンルで地域を伝えるスペシャリストになろうと考えたのがスタートです。
田舎のすばらしさと誇りを再認識
ただ、こちらに来て一番に感動を覚えたのは、空の広さ、星の多さ、海と山の近さといった自然風景の豊かさ。それを表現する手段としての風景写真だったんです。
その根底には、地元民ほど、この地元の自然の豊かさや恩恵を知らない。
そうしたことを写真というツールを通して伝えることで、田舎のすばらしさと誇りを再認識させたい。そんな想いから本格的に風景写真に取り組むようになっています。
「瞬~matataku~」について
待ち望まれていた方も多かったのではないかと思います。
当時は写真集というツールはこの山陰では売れないとされていました。
ただ、多くのみなさんのお力添えもあり、あれよあれよという間に初版は完売。二度の増刷をふまえ、最終的にはこの地域では異例ともいわれる5000冊を完売しようとしています。
「エッセイ」的な内容にしたかったんです
四季があり、ストーリーを感じるフォトブックでした。
写真は心を写すものだとよく言われます。だとしたら私の写真には、地元への愛情と情熱が詰まっていると。そうしたことがしっかりと伝わるものでありたい。多くの地元民のバイブルでありたい。そんな想いがこの写真集には込められているんです。
ありがたいことに、鳥取から都市圏に出て行く子供に、この本をお守り代わりに持たせたというご両親の声、県外に出る際にこの写真集を持って、地元の自慢ができたというような若者の声なども寄せられました。
この瞬間、大変でしたが作ったことが正解だったと心より感じることができましたね。
写真家人生の中でベストショット
「風景を撮る」ではなく、「地域を撮る」カメラマンでありたい
写真というツールを使って、いかにこの山陰という地域を伝えるか。地元には誇りをもたせ、県外にはその美しさをPRするか。要は手段としての写真でありたいと考えています。
それだけ写真には可能性があり、インパクトがある。そういう意味では、「風景を撮る」ではなく、「地域を撮る」カメラマンなのかもしれません。
私が撮影した写真の9割は失敗作なんです
事前にその時間、その場所に居なければ撮影できない写真も多いと思うのですが、全て予測を立てられているのでしょうか。
だから待ちます。だから通います。だから撮り続けます。風景写真で一番大切なことは、その過程なんです。そこに通うこと、そこに通うために調べること。それが自分の知識になり、それは自分の地域を知るという武器になるからです。
みなさんが目にしている写真は私のなかのほんの一部。だって私が撮影した写真の9割は失敗作ですから(笑)
その失敗が、自分の経験値となり、成功へのほんの少しのステップアップになると考えています。
「写真集「瞬~matataku~」の撮影地をめぐる フォトジェニックな撮影ツアー」
ここまでの反響をいただけるとは思っていませんでした。中には福岡から参加された方もいらっしゃったとか。本当にありがたいことですね。
撮影地の掲載・公表
そこに人が集まることはいいことですが、その反面、マナー違反などにより地元と軋轢を生む可能性も多分にはらんでいます。
私がやってきたことは、伝えるだけでなく、それをどう生かすかということ。要は発信するだけではマイナスにしか変化しないということ。だからこそ、発信すると同時に、それをどう生かすかの地元主導の行動も非常に重要になります。
そこができて初めて、大々的なPRができる。
だから、私の作品でも、その準備ができていない、もしくは人に今来てもらっては困る場所は絶対に場所を明かしません。
「瞬~matataku~」では、DIAMOND DAISEN MAPとして撮影地を掲載していますが、これも自治体などと協議を重ね、資源とて新たな産業を作っていこうとの思いがあったからこそできたことだと考えています。
しかしながら、地域のメッセンジャーとしての「情熱」は人一倍持って仕事に取り組んでいけるように、心がけています。
写真家・フォトグラファーにとって最も重要なもの
自分がどう撮りたいか、何を伝えたいか、その想いをどれだけ語れるかが写真に一番大切なことだと。
私の場合、先にも申し上げたとおり「地域を撮る」という目的で撮影をしてきました。よって、地元へのリスペクトと誇りもあわせて非常に大切なファクターだと思っています。
写真家を志す若者へメッセージ
何をどう撮りたいか。そこがすごく大切なことだと。
地域活性プロデューサーとして
豊かな自然、豊富な資源が鳥取県の魅力
しかしながら、いい資源がありながら、それを生かせていない。いやもっと言えばそれにさえ気づいていない。
私の役割は、写真家として、地域活性プロデューサーとして、こういった鳥取県の「魅力」「財産」を発進し続けていくこと。
そしてそれを県内完結の自己満足的なものではなく、全国に発信できるクリエイティブな要素としても非常にハイレベルなものを創りあげていくことだと考えています。
なぜ「ハンバーガー」だったんですか?
素材としていいものがあっても、それを観光的なコンテンツにシフトできていない。そのきっかけとして発信するツールがバーガーでした。
当時、佐世保を筆頭に全国にご当地バーガーなるものが誕生し、鳥取県にもいくつか登場していましたので、それらを集めて全国規模の大会にし、いずれは新たな食文化としての築き上げることで、鳥取ブランドを発信・発展させたい。そのための長期のプロジェクトしてスタートさせました。
結果はご存知のとおり。今やこの大会は、食で町を元気にしたいという地域や団体の甲子園的な場所として認知・評価されています。
バーガーフェスタの三年目。大会1ヶ月前に大山を巨大な台風が襲う
当時三会場での開催を予定していましたが、その二つが使えず、一会場での開催を求められましたがキャパ的にできるのかどうか。その結論を夜中まで議論したことを今もはっきり覚えています。
結果、担当の警備会社の完璧な警備マニュアルや自治体の支援などにより無事開催。この苦難を乗り越え、大会も、私も大きく成長させられた大会だったようにも思います。
移住ではなく定住が目的
であれば、来るまででなく、来てからのサポートをもっと充実する必要があると思います。
あとは、その発信と支援の仕組み。
今後の10年先を見るのであれば、都落ち的な発想で都会に疲れたからという人材を受け入れるのではなく、地方で何かをやりたいと考える前向きな人材を受け入れる取り組みが官民の連携により実現されることだと思います。
柄木さんに聞いてみたかったこと
柄木さんが今選ぶ飲食店
あとは、伯耆町のペンション村内にある「cinema valley 森のスープ屋」。私の大切な友人が夫婦でやっているお店ですが、大山山麓で採れた新鮮な野菜のよさを最大限に生かしたスープのランチが個性的かつ素晴らしい味。二人のやさしい人柄がにじみ出た料理だと感じています。
ラーメン屋さんなら「すみれ」と「たかうな」
個人的には、「すみれ」と「たかうな」。
パンチのある味がお好きな方なら「すみれ」。あっさりで創作性の高い味を求めるなら「たかうな」。どちらもオーナーの人柄が素晴らしいお店です。
最後に
これからの柄木孝志さん
地方だからこそできることがあると思いますし、都会に出なくても、若い方が鳥取県で夢の実現や目標の達成ができる地域にしていきたいです。
単純な人口や物量で言えば、確かに都会と比較すれば少ないです。しかしながら、此処では楽しみを自分で見つけることができます。
写真というツールを通じて、これからもリアルな鳥取を伝えていきたいと思っています。
風景写真家/地域活性プロデューサー
大阪府出身。雑誌等の編集プロダクションにて情報誌、グルメ誌などの出版業務に携わる。 10年間の勤務ののち、鳥取県米子市にIターン。
有限会社JAPRO(鳥取県伯耆町)に所属し、ホームページの製作に携わる一方、NPO大山中海観光推進機構(大山王国)にて、本格的な地域活性化事業に従事する。
特に、鳥取県が誇る名峰・大山(だいせん)を主に、地元山陰地方の風景を切り撮るなど、写真活動において、夜明けや深夜、夕景などこれまでに観ることのなかった時間を多く切り撮ることで新たな地元の美しさが注目され、各自治体のポスター、HP、観光ツールなどに使用されるようになる。
2013年秋には1st.写真集「瞬~matataku~」を出版し、2014年3月にはロシア・ウラジオストック、ハバロフスク、中国・上海などで写真展を開催。
また代表作の一枚が40万人のファンを抱えるSNS最大のフォトコミュニティサイト「東京カメラ部」上にて、約10万作品の中からの10選に選ばれ、以後毎年東京・渋谷にて合同個展「東京カメラ部写真展」に参加。2017年には、石破茂 元地方創生担当大臣と、2018年には、平井伸治鳥取県知事とのトークショーも実施した。
2018年夏には第二弾写真集「24Hours」を発刊予定、あわせて秋には植田正治写真美術館にて初の大規模な個展を開催予定。
ほか、日本最大のご当地バーガーの祭典でもある「とっとりバーガーフェスタ」、クリエーターによる街づくりを担う「山陰sacca」では、「お盆の大献灯」を企画提案。
近年は北海道から沖縄まで、全国10以上の自治体にて地域活性化、観光コーディネートのアドバイザーとしても活躍する。
撮影における座右の銘は「写真は心を写すもの」。
■経歴
有限会社JAPRO チーフエディター・カメラマン・地域活性プロデューサー
NPO大山中海観光推進機構(大山王国) 理事
とっとりバーガーフェスタ実行委員会 代表
山陰sacca 代表
全国地域づくり大会in鳥取 大山分化会 コーディネーター・実行委員長
山陰コンテンツビジネスパーク協議会(MAMM) 理事
大山グルメ食道プロジェクト コーディネーター
・国道9号線の活性化のための地域づくり・商品開発
とっとり移住定住支援対策チーム「とっとりタスクフォース」 委員
日本再興戦略 中国地方産業競争力協議会 委員
エコツーリズム国際大会 未来フォーラム パネリスト
観光庁 官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業 ツアーコーディネーター
ほか、地域活性事業・地域デザインについての講演・アドバイザー
フォトスクール講師 等は多数
インタビューを終えて
柄木孝志さん、ありがとうございました!
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