株式会社アンドローカル面谷さん出演
今回の鳥取×働く人は株式会社アンドローカルファウンダーの面谷さんです。宜しくお願いいたします。
アンドローカルの活動について
自己紹介
面谷斗夢です。東京に上京して約20年になります。鳥取県境港市の出身で、父方の曽祖父は島根県隠岐島なので「まさに山陰」ということで、山陰ペディアさん向きですね。
仕事は、約10年間 NTTグループで電子マネー関係の事業開発をしておりました。2018年からはブロックチェーンのスタートアップにて、事業開発のマネージャーをしております。また副業にはなりますが、東京から故郷をサポートする活動をしたいと思い、2020年に株式会社アンドローカルを起業し、二足の草鞋で日々を過ごしております。
『鳥取のカニ』を売るために立ち上がる
東京から故郷をサポートする活動をしたいと思ったきっかけを教えてください。
僕は境港の出身なのですが、2020年始の新型コロナウィルスの発生以降、その年のGWも正月も、またその翌年も、境港に帰省ができずにおりました。長引くステイホームや緊急事態宣言の中、境港の友人から「山陰じゃ観光客ががいに減って、カニが売れんで困ってる」と聞きました。
東京では帰省も勿論、緊急事態宣言の繰り返しで、外出もなかなかできない日々が続いておりましたし、ふるさと境港もカニが売れずに余って困っているとうことであれば、東京の僕の友人知人と一緒にカニ購入できれば、双方メリットがあるのではないかと考え、まずは行動してみようということで、2020年11月にセルフ実証実験を行いました。
僕は東京に上京して20年くらいになりますので、東京には多くの友人がおります。そんな東京の友人や子供を通じて知り合ったパパ友などに声をかけていきました。それぞれの自宅に鳥取から郵送すると、送料分どうしても高額になってしまうので、受け渡しの方法を工夫しました。
「鳥取県のカニを買うけど一緒に買わない?ウチに届けてもらうから、そのカニを持っていくか取りに来るかで受け渡ししよう」そうしたところ、僕だけで70杯のカニが売れました。その既成事実が、東京から故郷をサポートする活動のきっかけです。
その後、会社にも提案する事になります。その時の周囲の反応や挙がった課題など教えてください。
会社で普段行っている業務自体が、大企業と行う新規事業開発やDX推進などなので、本件をプレゼンするとすぐに「進めてみよう」ということになりました。
ビジネス開発やアプリ開発には慣れているので、すぐにプロジェクトとして立ち上がりました。アジャイル(機能単位で小さくすばやく開発を繰り返していく手法)を基本としたプロジェクトが多いので、AND LOCALのプロジェクトも「走りながら」決めていきました。
課題などもあったかと思いますが、微修正しながらガンガン進めていったのであまり覚えていません。次に目指したステップとしては、僕以外の鳥取県関係人口の人々が参加しやすくするため、スマホアプリ化から始めました。できるだけ簡単にカニの共同購入ができるような仕様を考えていきました。
AND LOCALの使い方
VIDEO
AND LOCALのアプリでアカウントを作ると、友人に送信するメッセージの雛形文章が置いてあり、それをメール、LINE、Facebookメッセンジャーなどで友人に送信するだけで、購入に参加できるよう設計しました。受信した友人は、本文の中に参加意思表明のURLから、ニックネームと個杯数を入れるだけです。
紹介者が購入を確定すると、買い物かごのURLが送られるので、そこで決済と納品日の調整を行います。みなさん土曜か日曜納品を希望という方が多いですね。
自分が購入の発信者になることもできるし、一参加者として参加することもできるんですよね。
そうですね。出来るだけ多くの人に発信者になっていただきたいところですが、まずは食べてみていただいて「他の人に勧めたい」とまで思っていただくことからですよね。東京では、北海道までの距離というのもあると思いますが、カニといえばタラバガニをイメージされる方も多いです。
まずは一参加者として、第三者からの紹介を通じてベニズワイガニや松葉蟹を知ってもらうことから始められたら嬉しいです。
共同購入のメリット
共同購入することの面谷さんが考えるメリットを教えてください。
『○名の方が購入したら、○%値引き』 となるのがよくある「共同購入」だと思います。AND LOCALの場合、受け渡し時のコミュニケーションも含めた共同購入です。境港などの田舎には「お裾分け」という独特の文化・風習があり、それは東京ではあまり行われていないコミュニケーションです。
子供の頃、祖母が家にあるイカをボウルにいっぱい入れて、近所の友人宅に持っていくと「ちょっと待つだで」と代わりに野菜を山ほどもらって帰るというのを何度も見てきました。
うちも実家のあたりではお裾分けでコミュニケーションが成り立っています。今も。
スマホでできる「お裾分け」のようなコミュニケーションがAND LOCALならではだと思っています。
共同購入がコミュニケーションのキッカケに!
久しぶりに友人と連絡をとるきっかけになったり、受け渡しの際にコミュニケーションが生まれるので、人や地元との繋がりを感じられる素晴らしいプロジェクトですね。
ありがとうございます。地元はコロナの関係もあって観光客が減っていますし、都会の人も旅行や外出を制限されています。双方にとってメリットのある取り組みだと思っておりますので、参加者がどんどん増えていけば嬉しいですね。
改めて鳥取県産のカニは全国に通用するブランドだと感じます。
はい。松葉蟹は山陰を代表するブランドですね。「とっとり松葉がに」も「隠岐松葉ガニ」もあるので、山陰両県が誇れる商品だと思います。
僕の場合は子供の頃から食べている「ベニズワイガニ」も大好きですね。価格もリーズナブルですし漁期も長いので、まずはベニズワイガニから試してみていただくのが良いですね。
今感じていること
面谷さんの考えや体験が会社のプロジェクトになり、鳥取県も巻き込むプロジェクトになりました。今どんなことを感じていますか?
2021年3月のAND LOCALのプロジェクトでは、鳥取県東京本部さんにご協力いただき、1ヶ月で約300名近くの方に購入いただきました。その次は2021年11月に、鳥取県庁さんにご協力いただき、またまた多くの人がAND LOCAL経由で購入いただいております。
参加者アンケートでは「声掛けや到着後の分配の大変さ」に関する意見もありましたが「あまり連絡をとっていなかった知人に連絡を取る良い機会」や「ものを通じて喜びを共有できる体験が新鮮で貴重だと感じた」、「地方創生に協力できて嬉しかった」など、手応えを感じる回答もいただいております。
2022年度も鳥取県産品の販売協力ができるよう、県庁さんとの関係は継続しております。出身者として少しでも、ふるさと貢献できればと感じております。
今後の展開
今後のAND LOCALの展望・展開について教えてください。
2021年10月6日より株式会社アンドローカルを設立してプロジェクトを推進しています。2020年11月の思い付きから、地元企業の皆さん、伊達境港市長や鳥取県東京本部、鳥取県庁など行政の皆さん、県人会などの県出身者のグループの皆さん等、多くのご協力を頂き進めて参りました。
また光栄なことに、本取り組みについて平井鳥取県知事の座談会にも招待いただき、「とっとり県政だより」2022年1月号にも掲載していただきました。
「とっとり県政だより」2022年1月号
日本で一番人口が少ない鳥取県なので、「誰かがやってくれるだろう」と思わず、自分で行動し続けようと思っています。
面谷斗夢さんの素顔に迫る
大事にしていること
インプットとコミュニケーションなどの時間配分ですかね。仕事柄、新規事業を検討するにはインプットが重要です。色んな本をよく読んでいます。また仕事関係もさることながら、AND LOCAL関係や子供のPTA関係、趣味関係など複数あるコミュニティーの時間もなんとか確保するよう心がけています。
リラックスできるときはどんなとき?
休日は家族と過ごすことが多いのですが、4歳の長男を自転車の前に乗せて都内をサイクリングしているときはとても楽しく会話ができていますね。子供の成長は早いので、もう数年しかできないと思うと大切な時間です。
地元で思い出深い場所
地元で思い出深い場所やそれにまつわるエピソードがあれば教えてください。
ひとつは昔の実家ですね。実家は老朽化のため上京後に建て替えられたのですが、いつも夢の中の実家は古い方の家ですね。今の家になってから、あまり多くの日数泊まっていないので、いつも「お邪魔しまーす」という感覚で実家に帰っています。
もう一つは隠岐諸島にある五箇村(現:隠岐の島町)ですね。「定年後は隠岐島で仙人のような暮らしをする」と結婚前から妻に言っています。妻は「じゃその近くでコンビニをFC経営する」と言っています。
最後に
今後の活動について
株式会社アンドローカルではどのような活動をしていきたいですか?
ふるさとへの貢献や地方創生という軸足はブラさずに、色々なことにチャレンジできればと思っています。
「カーボンニュートラル」「空き家問題」「輸出/貿易」「事業継承問題」「芝」など、今時点でいくつもの企画を並行検討しています。中でもCO2(二酸化炭素)による地球温暖化や気候変動への対応は、将来の子供達の未来を守るという意味でも検討すべき課題だと思っています。
読者にメッセージ
京にいても鳥取や島根の方と知り合うことは少ないです。記事を読んで
「何か協力できないかな」や「誰かを紹介できる」など思っていただけま
したら、是非ともご連絡ください。
この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
今回の鳥取×働く人は株式会社アンドローカルの面谷斗夢さんでした。面谷さん、ありがとうございました。
面谷 斗夢(オモダニトム)
株式会社アンドローカル
ファウンダー
1983年2月27日生まれ
鳥取県境港市出身
東京に上京して約20年。鳥取県境港市の出身で、父方の曽祖父は島根県隠岐島。鳥取と島根の血を引くまさに山陰の人。
約10年間NTTグループに在籍。電子マネー関係の事業開発担当。2018年からはブロックチェーンのスタートアップにて、事業開発を担う。
2020年始の新型コロナウィルスの発生以降、その年のGWも正月も、またその翌年も、境港に帰省ができなかった。長引くステイホームや緊急事態宣言の中、境港の友人から「山陰じゃ観光客ががいに減って、カニが売れんで困ってる」と耳にする。
大企業を相手に数々の課題を解決してきた面谷。地元でカニが余っているならば友人知人とカニの共同購入ができないかと模索する。しかし、1杯2杯では面白くない。
周囲の人間に声をかけて、鳥取県のカニブランドの効力もあり最終的には70杯のカニを共同購入することになった。
口コミでここまで広がるならば間違いない、アプリ化することを決めたのだった。
2020年に株式会社アンドローカル設立。
2021年3月のアンドローカルのプロジェクトでは、鳥取県東京本部と連携。1ヶ月で約300名近くのユーザーが共同購入をする。
2021年11月には鳥取県庁と協力。多くのユーザー獲得に繋がった。利用したユーザー満足度も高い。
面谷が子供の頃、祖母が家にあるイカをボウルいっぱい入れて、近所の友人宅に持っていくと「ちょっと待つだで」と代わりに野菜を山ほどもらって帰ってきた。
地元には当然のようにあった光景。
お裾分けの文化はアンドローカルによって、地域性の壁を超えることなる。
&LOCAL(アンドローカル)
https://www.and-local.com/
インタビューを終えて
地元での原体験が素晴らしいサービスを生んだ例でした。
面谷斗夢さん、ありがとうございました!
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山陰ペディアの名ばかり委員長。
担当はシステム、デザイン、ライティング。
本業はWebプロデューサー。
好きな事は、ゲーム・アニメ・お酒を飲むこと、歌うこと。