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スクール講師・サウンドクリエイター・soundreamプロデューサー
西浦ミュージックスクールとは
楽器やボーカルだけでなく、パソコンを使って音楽を作るDTMや作詞作曲など、ひとつの分野に限らず、音楽について幅広く学ベル、“縦割りしない”スクールです。
この1年間を振り返って
最初は歌をしたいと思って来てくれた方は、ギターやドラムなんて難しいと思いあきらめている方も多いのです。しかしスタートして1年、練習を重ねる中でその方々の成長がすばらしく、技術はもちろん、質問のレベルも上がってきました。
今は法人としての活動となりますが、僕が講師業自体を始めたのは今から15年前、24歳の時ですかね。大阪で、名義としてはレコーディングエンジニアとして働いていたのですが、その時から教えることはしていました。
スクール生の主な年齢層
体験レッスンの内容
イヤホンやパソコン、スマホだけで音楽と関わっていけるような世代。そういう方々にとっての目標って、歌を聴いてもらって「いいね!」がたくさんほしいこと、だったりするんですよ。そういった面では、僕が体験してきたことと違っていて、興味深く話を聞いています。
初心者でも大丈夫
40~50代の方で、子育てが落ち着いたから何か楽器を始めたい、ピアノかギターかも決まらずとも、とりあえず体験にきました、という方もいらっしゃいます。
他のミュージックスクールとの違い
皆未経験の楽器に対して、最初からあきらめていることが多いんですよ。でも、総合的に音楽に取り組み、苦手意識のあった楽器もできるようになることで、成功体験を感じてもらえたらいいなと思います。
西浦先生って、どんな人?
小ネタ
これね、どこに行っても子供の頃からよく聞かれるんですよ。4月にクラス替えがあって新しい人に出会うときもですし、大人になったら美容室でしょ、コンビニの店員さんにも聞かれたこともあるし(笑)
ハーフじゃないですよ(笑)
3歳からピアノを始める
西浦先生は3歳からピアノを始められたとのことですが、ご両親やご家族の影響ですか。
西浦先生は数学の才能があったとお聞きしましたが。
今は生徒に勉強しろと言いますけどね。僕も本当に勉強をスタートしたのは大人になってからです。
ストリート・路上ライブの出会い
リクエストもありましたね。もちろん歌える曲なら歌いましたし、歌えないときの切り替えし方も勉強になったかもしれません。
今でもインストラクターや講師だけ、とも思っていませんし…音源製作のときはプレイヤーでもありますし…。
でも、「音楽は全部学びたい」と思っていますし、今でもできない楽器をやってみたいと思っています。レコーディングエンジニアの技術も、自分の音楽を形にするには必要なスキルです。これをやっておくことで、作り出すときにも最終地点や全体を捉えながら作ることができると思うんですよね。
休みはありますか?
丸一日のお休みとか長期の休暇とかは難しいですかね(笑)
この仕事のやり甲斐
もう一つは、好きな音楽に囲まれて生活できるところかな。よく言われているストレス社会とか、ブラック企業とか、そういうのとは違う感覚で生活できています。
確かに労働時間は多いかもしれないですし、寝ている時も音楽のことを考えているくらいですが、それをストレスとは思いません。むしろ音楽できないほうがストレスですね(笑)
音楽で生計立てていきたい方へメッセージ
CDも売れなくなり、アーティストが評価されにくい時代である現在、正直厳しいですね。もっと言うとAIも曲を作っていくようになると、これから人間が作る音楽の価値が下がっていくようにも思います。CDを作って売って、というルーティンも崩壊してくるかもしれない。
それでも、リスナーとしての人が、音楽に求めるものは変わっていないと思うんです。だから、奏でる方も変わっていかないといけませんね。
そしてもう一つ、「音楽至上主義」にならないことです。よく音楽に没頭している人は、「ここのこの音が~」「ここの歌い方が~」となりがちです。しかしリスナーは音楽をムードとして捉えますし、聞くときには自分の人生を考えるものです。
リスナーのこと、ライブであるならお客さんのことを考えられる人間力ですね。そういった音楽以外の部分も大切にしてほしいと思います。
デジタルネイチャー時代の音楽
また、昨今では、音楽データの違法アップロード・違法ダウンロードや、ライブチケットの不正売買が問題として取り沙汰されています。チケット転売サービス最大手の「チケットキャンプ」が問題となり2018年5月末にサービスを終了したり、何かと世間を騒がせました。
アーティスト・クリエイターの「著作物の在り方」「権利」について、西浦先生のお考えをお聞かせください。
誰かの人生を応援できるような、また誰かの人生に寄り添えるような作品であって欲しい。
そういうことだと思うんです。そして自分の作った歌がみんなの歌になって欲しいってことだと思うんです。
ましてやそれを生活しながら継続するには大変なお金です。そこはきっと多くのミュージシャン・アーティストが葛藤していることだと思います。
みんなの歌であって欲しいと願うのですが、それを作った自分の権利・収益を認めてもらわないと次につながらない。
これは音楽だけのことじゃなくて、様々なコンテンツで言えることだと思うのですが、
データに変換されたもの・デジタル化したものの感覚的価値って限りなく0円に近づいてしまうと思うんです。
受け手からしたらお金を払わなくても見たり聞けたり出来る環境があると思うんです。
こういった現実と、アーティストが才能や労力に見合った収益を得ないと次に繋がらないという現実、今はその間に立っている気がします。
いや、それは形は違えどいつの時代もそうだったのかもしれないですけど。
著作権管理団体も増えてきているみたいですし、そもそもCDなどのメディア販売が良いのか、ダウンロードが良いのか、ストリーミングが良いのか、音楽という情報の届け方もどんどん変化していくと思います。
答えになっていないと思いますが、答えがみんなわからないからこういう時代になっている訳ですしね。
ただ僕の純粋な願いとしては、世の中の人たちがいついかなる場所にいても権利など気にせずに好きな歌を歌って踊れて、作品を生み出すアーティスト・それを届けるために働く人達がそれに見合ったお金を手にする。
この一見矛盾しているようなこの2点をうまく繋ぐようにみんなで理解し合えたらということですね。
歌・ボーカルについて
「歌が上手い」「上手い歌い方」とは?
例えば4分の曲があったとして、その4分の密度が濃い人は上手いと思います。密度ってのがまた何とも伝えにくいんだけど…。
まぁこれを紐解いていくと母音の強弱だったり、“強く”っていう歌詞をただ強く歌うのではなく弱く歌ったり、笑顔で“涙”と歌ったり、と表現ができるようになります。
伝えるの難しいな~(笑)
いわゆる「才能」の割合が大きい分野のようなイメージがあります。
soundreamでは、若い人から40代の方もおられますが、学びたい気持ちは同じです。皆、自分の人生の中で今日が一番若く、皆が「今日より明日が上手くなっていたい」と思っています。音楽や歌に限らず何かに取り組む意義は、そういったところにあると思います。
以前70代後半の方がレッスンを受けられて、自分自身で上手くなったと涙した方もおられましたよ。
ボーカルレッスンの流れ
そしてDTMで分析します。アドバイスをしながら、「僕が言うように歌うとこんな感じになるよ」とパソコンで処理した歌を聴いてもらいます。僕が伝えられるのは「意識」のポイントです。
意識が先で、その意識に沿って体で表現するように言っています。
教える際に気を付けていること
今伝えようとしていることは、その人にとって現段階では必要ないことなのだと思いますね。そういう時は「頭の片隅にでも入れておいて~」と言って、ほかのことに取り組みます。そしてたまにまた伝えてみる。そうやっていつか、「あの時言ってたのはこういうことか!」と分かる日が来ると思っています。
また、「耳で聞いて上手い歌い方」と「カラオケで高得点を出す歌い方」に違いはありますか。
おそらくマイクに入ってくる音のタイミングやパワーで判断しているでしょうね。しゃくりなどのポイントもありますが、しゃくり方のカーブや高さ…これは人間でいう“好み”の世界だと思うんですけど、そこまでは正確ではないと思うんですよ。
技術に溺れると、聞いている人は本題に入れませんね。サッカーで言うところのリフティング大会みたいなもんだと思います。試合ではない(笑)
作曲・DTMについて
DTMコースの内容
作曲やDTMのコースについて、具体的にどのようなことを教えていただけますか。
これは僕も本当に苦労しました。昔はインターネットもなくて調べられないし、楽器屋の兄ちゃんがカリスマでしたけど、それでも分からないことも多くて。「AとはBである」って書かれていても、AもBも分からない(笑)半泣きで学びました。僕はライブハウスでプロを見て、こうかな?と考えることがトレーニングにもなりましたけど。
大抵の機材の基本操作や用語などは教えることができます。込み入ったことは僕が使っている機材で説明する方がお伝えしやすいかな、とは思います。
受講する際に必要なもの
未経験でも大丈夫ですか?
soundreamについて
soundream発足のキッカケ
もともとは個人レッスンから始めました。2016年、ちょうどTSUTAYA角盤町店がリニューアルオープンされる際、練習やライブをする場である角盤町スタジオの専属音響として声をかけられました。それがきっかけで自分でもやってみよう、と始めたのが現在のsoundreamの形につながります。
生徒が学んだことをアウトプットする場がなく、以前から発表の場があれば、とは考えていたんです。生徒が一番伸びるのは、本番を想定してやることですから。
もともとは月に8日、もっと短い時間だったのですが、いつの間にか増えていました(笑)今後人数や希望が増えれば変更の可能性もあります。
soundreamのメンバー構成
中学生くらいになると、本人の中ではプロという言葉は口にしませんが、本格的にやっています。今いる中学生も相当レベルが高いですよ。
大人は、プロを目指している方もいますし、一度プロを諦めた方もいます。しかしプロというのがどのレベルなのか、本人たちも分かっていないところもあります。私はそういった人たちにも、どこまでも夢を見ていこうと伝えています。
僕は独学でできるところまで実力をつけてほしいと考えています。そしてそこまできたら、また別の高いレベルの壁に当たる。そこで僕はまた意識のポイントを伝える。この繰り返しです。
soundreamのこれから
もっとたくさん、色んなイベントにお招きいただけるようになりたいですね。
自分が成長することで、昨日答えだったことがそうではなくなり、変化していきます。「過去の誓い」に縛られずに、より良くなるように変化していくことが大事じゃないでしょうか。
もし今の自分が過去の自分と違うことを言った時に「あの時こう言ってたやん!」ってツッコまれても、「ごめんごめん、そうやねん。俺、変わってん。」って。
人生そのものや今やるべきことを、過去の自分が決めるのではなく、未来の自分が決める。そうありたいですね。
IJUターンについて
鳥取県への移住者として
しかし実際に住んでみると、正直とても戸惑いましたね。時間の緩やかさ、これは悪いことではないのですが、車社会の鳥取と比べると、大阪時代は細かく電車の時間が決まっていて…スケジュールが細かく、かっちりとしていたように思います。
鳥取県の魅力・誇れるもの
音楽やっていても、皆夢がないというか、自分でスケールを縮めている気がするんです。都会からしたら、山があって、海があって、土地があって、全部あるやん!って思うんですよ。
音楽をやる立地としても最高だと思いますよ。
今は確かに音楽をするのは都会が有利かもしれませんが、今後はむしろ田舎の方が有利になってくると思いますよ。
「地方での音楽活動」について
また、地域から音楽が、という観点では、地域に根付くことが大事だと思います。なんとなく山陰で音楽は…と、諦めムードが強い印象がありますね。音楽的に伸びそうな子も、高校卒業を機に県外に出て行ってしまいます。そもそも「上京で成功すること=サクセスストーリー」みたいに思ってしまっています。でもそれが本当にサクセスなのか僕は違和感というか疑問を感じます。
鳥取が地盤となるために、志せば地元で学んで地元で働けるように、地元の人たちがサポートしていく必要があると思います。そこでは行政や地元の応援が必要になると思いますね。
最後に
今後の目標
読者へメッセージ
これは父から言われたことですが、いくら自分がトレーニングしても自分自身は持ち上げられない、でも人は持ち上げることができる。
人を持ち上げようと頑張ることが実は自分自身の成長に繋がると。
成長できるように、飛び級せずに、地道にやっていきたいですね。
1978年8月20日生まれ
サウンドクリエイター/soundreamプロデューサー
1978年大阪府堺市生まれ。3歳からピアノを始め、軽度の”絶対音感”が見につく。しかしピアノの才能はなかった。
中学生になり文化祭を機にバンドを組み、BOOWYとZIGGYのコピーを演奏。音楽の楽しみを思い出す。
高校に進学すると、ひたすらエレキギターを弾く日々。EXETREMEが好きでよく弾いていた。インフルエンザにかかっても、エレキギターを弾くのをやめることはなかった。
高校卒業後は、当時組んでいたバンドで一定の評価を得る。東京進出するものの、バンドは解散。
その後は横浜仲町台のスタジオでレコーディングエンジニアとして従事。
2013年9月 鳥取県米子市へ移住。西浦ミュージックスクールを開業する。
Webサイト
http://dearmusicians.com/
インタビューを終えて
西浦寛卓さん、ありがとうございました!
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