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文化系アスリートとは。
鳥取県西部のクリエイター界隈では知らない人がいない程有名な林さんですが、クリエイター以外の方は知らない人もおられると思うんです。そういう方々への自己紹介も兼ねて、林さんの肩書きを教えてほしいんです。
林さんってイラストレーターなんですか?アニメーターなんですか?漫画家なんですか?広いくくりで言えば「クリエイター」だと思うのですが…。
このページで紹介させてもらうに当たって、コレ!っていう肩書きを教えてほしいなと思いまして。
ズバリ、今の肩書きは?
普段は「絵描いたり動画作ったり…ゴニョゴニョ…」って感じなんですけど…
一応、色々ひっくるめて「文化系アスリート」って言ったりしますね。結局説明する事にはなりますが(笑)
文化系アスリートがどういうものか、もっと詳しく聞かせてもらってもいいですか?(笑)
絵、漫画、アニメ、特撮、などで面白そうなイベントやコンペがあると「次の戦場はここかっ!」とばかりに飛びついて、寝る間も惜しんで作品作りに没頭すると言うスタンス、それが文化系アスリートなのです。
- どんな事にもチャレンジする姿はまるでアスリート
現在も山陰を拠点にされていると思うのですが、具体的にどのような制作をされておられますか。
その中で面白そうな企画があるとそれ用のイラスト描いてみたり…(笑)
いつも何かの締切に追われているイメージです(笑)
基本的に自分が興味持てないと請けないんですけど、その反面「俺なんかに依頼してくれるとは…報酬はお気持ちで良いですよっ!」と言うガバガバなノリで請ける事も少なく無いです(笑)
いやぁ、しかし、お金の事って考えるの嫌じゃないですか。
大切なんですけど。
使用サイズがA4以内ならいくら。A3ならいくら。アニメだと1秒いくら。1カットいくら。みたいに料金決めると、なんと言うか…寂しいじゃないですか(笑)
こちらの作るものよりも料金見られちゃう。みたいな。
作る時はこちらも気持ち載っけて作るんで、頼む人もその仕上がりや作る側に対して気持ちを載っけて欲しい。って言う…(笑)
…(沈黙)
…依頼する側として料金表みたいなのがちゃんとしてた方が頼みやすいですか?
ただ、お金の事を考えないと会社を経営したりフリーランスで活動する事が難しいように思います。
その点、今の林さんは電脳マテリアルや特務機関ホビーワークスの時よりも、活き活きしている感じがする。
たまに言い値で請けて描き始めたものの「あれ?この方向だったら◯◯さんの方が得意じゃね?」と思う事があって。
そうなるとクライアントさんにもそれを得意とする作家さんにも申し訳ねぇな、と。
そう言う時にその作家さんに振れれば良いんだけど、その作家さんでは請けないだろうなぁ。と言う額だったり…。
その辺を上手く色んな作家さんたちとシステム化出来ないものか、と電脳マテリアルやホビワとかでも模索してたんですけどね(笑)
「気持ちだけで活動」した電マ、「ビジネス」としてやろうとしたホビワ。
どちらも極端な色で活動してたけど、極端な方向を求めると同じくらい極端な形で失うものがあるな。と。
「生活出来ない」とか「好きなものが作れない」とか。
そこまでやって、やっと「普通に働いて空いた時間で好きなものを作る」って言う普通の生活が必要なんだな。と気付いたんです。
そう言う生活をし始めてからは生活に困らない、好きなものだけ作れる。と言う理想の形になったんで、それはもう活き活きしちゃいますね(笑)
電脳マテリアルと特務機関ホビーワークスの話が挙がったので、ここからは昔話をしていただこうと思いますが、よろしいですか?(笑)
…いいですよ(笑)
電脳マテリアル、特務機関ホビーワークスについて語る
当時の事を振り返っていきたいな、と。
- 話せば長くなるんですが…
電脳マテリアルにはたくさんの色んな方々が関わってくれたので全てを話す。と言う事は難しいんで、あくまでも主観的な回想と言う事で…。
山陰に引っ越して来てとあるデザイン会社さんに就職したんです。
そこで、鳥取は翌年「まんが王国になる」と言う話を聞いて。
山陰に来るまでは東京で漫画の持ち込みしたり同人イベントにサークル参加したりしてたんで、まんが王国って響きがかなり魅力的に聞こえて。
- まんが王国とっとりの当時の盛り上がり方はすごかった
で、最終的にまんが王国関係の人に「オタクはターゲットに入ってないッ!」と言われて。
その時自分と似た意見を持ってた人と色々話して「ご当地ゲームって良いよね」と言う話になったんですけど、ゲームってどう作れば良いんだ?と。
それから少ない繋がりを辿って制作メンバー(ゲーム制作未経験ばかり)を集めたんです。
- とっとりを舞台にしたギャルゲー「キミウタツムギ」
それでも記者会見で「来年の夏コミで頒布します」って言っちゃってたんで、制作を進めなきゃ…っ!と。
結局最終的には20人くらいの人が関わってくれたんですけど、まぁ、人間が20人集まれば色々と問題も生じつつ…。
それでも何とか夏コミに間に合ったんですけど、コミケから帰ったくらいにネット上では大炎上(笑)
- そして炎上へ
気持ちだけでは限界があるな。と。
制作は継続出来なきゃ意味が無いな。と引きこもりながら色々考えてました。
- 「キミウタツムギ」ってどれくらい売れたんですか?
出来はまぁ…まだストックあるんでもし良かったら100本くらい買ってください(笑)
購入の件は、林さんのインタビュー記事がバズってPVが伸びたら検討させていただきます。(笑)
話は戻りますが、電脳マテリアルはどのように終わって、特務機関ホビーワークスはどのように始まったのでしょうか。
「解散!」ってのは無いですね。
とりあえずゲームも出来たし~…って感じでみんな会わなくなって行った様な…。
その間、無給では継続した制作が出来ない。と考えていた自分は電脳マテリアル活動中にいただいた仕事である程度まとまった資金があったんで「この資金で給料をもらいながら制作出来る環境を作ろうッ!」とホビーワークスを立ち上げたんです。
電脳マテリアルでも活動は可能だったはずです。
なので会社にして活動・生活資金となる仕事を請けながら好きなものを作って行こう。と。
サークルの状態だと、仕事の話が出来なかったんですよね。社会的に。
特務機関ホビーワークスでは、どのような制作案件をされていたのですか?
- サークル活動では収まらず起業へ「特務機関ホビーワークス」
炎上と社長と、色々経験出来て勉強になりましたね(笑)
結局、その環境を維持する為のクライアントワークだったり、より早くより効率的に。と言う方向に行かざるを得なくなって、自分の場合はその、作りたいものからどんどん離れて行く感じのストレスとか金銭面での悩みとかで何にも作れなくなっちゃって…(笑)
何の商材も持たない状態でいきなり事務所持ったり社員雇ったりは無謀だったな。と。
そこなんですよっ!
電マ、ホビワを経て会社員をやりながら安定した環境で好きなものだけを作れる様になった今、次の段階は「不労所得」だな。とっ!!!
まぁ、自分のいるジャンルからだと印税とか権利収入的な。最近はその方向を模索しているんです。
特務機関ホビーワークスは、どのようにして辞められたのですか?
お金の事を気にするあまり、創作意欲も無くなってしまったので「もうこの会社潰そうッ!」と。
そしたら当時の役員や社員さんに「潰すなんてとんでもない。だったら自分たちが引き継ぐよ。」と言われて。
で、では社長だけ退任・退社しますねッ!と言う感じで辞めたんです(笑)
- まさかのトップが会社を辞める決断
その後は、すぐどこかでお勤めされたんですか?
で、もうデザイナーとかはいいや。とデザインから少し離れた職種になりましたね。
会社員と極東アニメーション
最初サークル名を「にいてんご」にしてたんですけど、どうやらそう言う商品があるぞ、と(笑)
で、その頃すでにチラホラと「県から金もらってゲーム作ってやがる」って言う中傷があったんで「県から金もらって無さそうな名前にしよう」と。
略した名前から広げて電脳マテリアル。ってなりました。
ホビワはホビーワークスって名前は自分が決めたけど、頭に○○会社ではなく何を付けても良い。と教えられたのでじゃあ「特務機関」付けとくか、と。
極東アニメーションは自分1人なんで自分で考えましたね(笑)
名前だけではどんな活動をしているのか不明な点が、逆に格好良さを増してる気がします。
言われて初めて気が付きました。
多分、こう言うのが好きなんでしょうね。
一つぶっこんで聞いてみたいのだけれど、林さんはもう起業しないの?会社辞めないの?野心は消えてしまったの?(笑)
- 今尚、野心の塊
残念ながら、今尚野心の塊なんですよ…!(笑)
今、とりあえず5年後目標で色々試行錯誤してますね。
それは、極東アニメーションとして、ですか?
最後に、この記事を読まれている林利彦ファンにメッセージをいただけますか?
そんな奇特な方がおられるとしたら…
アニメや漫画やゲームなんかより、一生懸命生きるノーコンティニューな現実世界の方が何倍も面白いぞっ!
と…っ!
そんな一生懸命な現実での一瞬の息抜き、明日も頑張ろう。って思えるような一瞬の娯楽作品を今後も作っていきますので楽しみにしててくださいっ!
鳥取ペディアとしても個人的にも面白いお話が聞けました!
ありがとうございました。
1977年4月24日生まれ
文化系アスリート
音楽の専門学校を卒業後、都内ライブハウスでバンド活動をする。
その間、独学でデザインを覚えバンド解散後グラフィックデザイナーとして就職。
同時期に漫画を描き始め、二次元にどっぷりハマって行く。
山陰に引っ越して来て半年後に「電脳マテリアル」結成。その延長で「特務機関ホビーワークス」を設立。
ホビーワークス退職後は会社員の傍ら創作活動を続け「1枚絵より動いてる女の子の方が可愛い」と気付き独学でアニメ制作を開始する。
facebook
https://www.facebook.com/kyokuani/
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCxqMT32CJbSrfneW-BycZaA
インタビューを終えて
林利彦さん、ありがとうございました!


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