
本格的な鮨を楽しめる鮨割烹きしもと
本格的な鮨を気軽に楽しめる米子駅前の
鮨割烹きしもと。鮨職人兼、きしもとの代表である岸本博之様にインタビューさせていただきました。
「鳥取×働く人 vol4」は鮨割烹きしもとの岸本博之様にお越しいただきました。本日は宜しくお願い致します。
いきなりのお誘いにも関わらず、快く受けてくださって嬉しいです。
鮨割烹きしもととは

店内にはカウンター席が用意されており、一人でも気軽に来店可能。
はい。米子駅前の岩崎ビルの2Fで寿司割烹屋をさせてもらっています。「駅前パーキングのところ」と言った方が、わかってもらいやすいかもしれません(笑)
寿司ネタとしては「バッテラ」と「穴子」を売りにしており、ご好評いただいています。シャリは日南町米を使用しています。お酢は米酢を使っており、米酢は文字通りお米から作るお酢なものですから、シャリとの相性が非常に良く、こちらもご好評をいただいています。
全てというわけではないのですが、市販されているものはほとんど使用しておらず、私が仕込みで作っています。
営業時間・アクセスなど
そうなのですね。18時から23時30分まで営業されていると伺っていますが、仕込みの時間を含めると、お店の方には何時に入られているのでしょう。
平日なのか週末なのか、その日のお店の予約状況により異なりますが、大体13時から14時にはお店に入り、仕込みや開店支度をしています。
当然の事かもしれないですが、すごい早い時間からお店に出られているのですね。
はい、この部分を怠けてしまうと、開店してからのオペレーションに影響が出てしまいます。料理をすぐお通しできないですし、ご満足いただける味をご提供できなくなってしまいます。
2018年7月12日で一周年
約8か月間お店を運営されて、色々なモノが見えてきた頃でしょうか。手応えや反省点などあれば、教えていただけますか。
反省点ばっかりですよ。本当に(笑)とにかく知名度がまだまだ低く、皆様に知っていただけていません。この場所は居抜きで入らせてもらっていますので、設備や内装などほとんど構わなくても営業を始めることができました。しかしながら、少々場所がわかりづらいですね。
とは言え、場所だけのせいにもできません。皆様に鮨割烹きしもとを認知していただけるように、私自身が努力していかないといけないと思っています。何かもっと工夫ができないかと、今は試行錯誤中です。
かくいう私もお店の存在は知りませんでした。友人に連れられて行ったのがキッカケでしたね。
今は友人・知人、仲間を中心に宣伝してもらって、大分助けてもらっています。
年齢層や利用シーンなど、どのようなお客様が多いでしょうか。
先程話に挙がったように、オープン当初は友人・知人、仲間内を中心にお店を利用してもらいました。
完全な新規のお客様は40代以上の方が中心です。待ち合わせに利用してもらったり、一軒目で利用してもらう事が多いです。
若い方には敷居が高いんでしょうかね(笑)正直なところ、あまりお越しにならないです。
そのあたりの質問は、後でまた用意しておりますので、後程聞かせてください(笑)

鮨割烹きしもとの看板。お店は、米子駅前パーキングの脇にある階段を上がった2階にある。
山陰は海の幸の宝庫 ~ネタについて~
山陰に住まう人間としても、山陰の海の幸は本当に美味しいと思うのですが、ネタを取り扱う際に気を付けている事はありますか。
冷蔵庫の管理を徹底する事です。まず、大前提として冷蔵庫内は清潔に保つようにしています。
そして、冷蔵庫という空間の中で、どのお魚が、どの場所に、どれくらいの量が保管されているのかなど、徹底して把握するようにしています。
我が家の冷蔵庫は取っ散らかっています(笑)
細かなところまで、こだわりを持っていらっしゃるのですね。
一つ一つの気遣いは僅かな差なのかもしれないですが、鮨という作品になった時に大きな違いが生まれます。
また、専門の鮮度保持シートを使用しています。この鮮度保持シートは魚の身から出た水分を吸収するものです。
水分が魚に返ってしまうと魚が傷んでしまって、腐りやすくなってしまいます。このシートを使用すると、それを防げるのです。旨味もそうですが、衛生的な面は特に気を遣っています。
でもね、ネタの鮮度を保つのに最も大事な事は、そのネタが早くお客様に元に出てしまう事なんですよ(笑)
確かに、間違いないです(笑)
お魚の仕入れ価格の変動は激しいものですか。
もちろん、時化(しけ)の場合は高くなりますね。
かと言って、そうじゃなければ「安い」というわけではないです。「安定」という表現が近いかもしれないです。どんな時期でも変動はしますから、日によって違いますね。
冒頭でも申し上げましたが「バッテラ」と「穴子」を売りにしています。穴子は煮穴子で柔らかい触感で召し上がっていただけます。
お客様の笑顔が唯一と言える喜び
この仕事をしている上で、嬉しい瞬間や良かったと思える出来事があれば教えてください。
それはもちろん、美味しいと言ってもらえた時です。
私も色々なお店で働いていましたが、今のお店の作りですとお客様が召し上がられる表情を見ながら鮨を握れますし、ありがたい事に声をかけてくださる方も多いです。
近くでお客様の顔が見れるのは良いですね。
例え「美味しい」というお言葉を直接いただけなくても、同じネタをご注文していただくと嬉しいです。気に入っていただけたのかな、と。嬉しいものですね。
確かに、鮨は一貫の量は多くありませんので、気に入った握りネタをまた食べられますよね。どんなに美味しくても、量が多いと途中で飽きてしまったり。
仕込みの時間からお客様の「美味しい」という言葉や笑顔を想像しているんですよ(笑)
これ唯一と言っても過言ではありません。本当に。
鮨職人としての岸本博之に迫る
鮨職人岸本博之はどのように鮨職人になったのか。また、鮨業界について聞いてみた。
鮨職人としての経歴
うーん、実は離れていた時期もありましたが、通算で22年~23年くらいでしょうか。
離れていた時期もあったのですね、これはちょっと意外でした。
それが、あったのです(笑)
離れていた時期に、知り合いのお店から少し手伝ってくれないかと声をかけてもらい、私もちょうどこの仕事しかないと考えを改めていた時期でしたから、戻りました。
岸本さんが鮨職人を志されたのはいつ頃でしょうか。また、志されたキッカケなどありましたら教えてください。
「志」というと30代かもしれないです。20代の頃から鮨は握っていましたが、仕込みやお店の事が全てこなせていたわけではありません。
握るだけが鮨職人ではありませんし、そういった意味では、今振り返ってみると20代の頃の私は、志が低かったように思いますね。
色々なお店にいました。回転寿司屋、居酒屋、旅館、など。
36歳から46歳までは一つのお店にずっといました。
「師匠」の存在
はい、今はお亡くなりになられましたが、いました。
師匠の鮨は関東の握りなのですが、例えば穴子で言うと関西は腹開き、関東は背開きなのです。穴子は骨の形状が三角になっているのですが、背開きの方が理に適っていると考えています。
今の私の握りは、師匠の教えの賜物だと思っています。
見習いの期間中、辛い経験や出来事があれば教えてください。
うーん、具体的にはあまり思い出せないですね。当時は、とにかく一生懸命修行に励んでいましたから。辛い事を辛いと思っていなかったのかもしれません。
それに、師匠は私には非常に優しくしてくださりました。褒められて伸びるタイプだと、見切られていたのかもしれません(笑)
ちなみに、その時の弟弟子が今は笑麺亭米子の山本学です。
笑麺亭の
山本学さんが弟弟子なのですね。お二人の絆の深さ、仲の良さの理由がわかったような気がします。
師匠には本当にお世話になりました。欲を言えば、もっと早くに師匠に出会って、もっと色んな事を私に教えてほしかったです。
ふぐ調理師の免許も、師匠がお亡くなりになられてから取得したのですが、食べてほしかったです。
師匠の味を岸本さんが受け継いでおられて、それが
鮨割烹きしもとで提供されている、何だか感慨深いです。
一人前の鮨職人になるための年数・期間
鮨職人として一人前になるためには「飯炊き3年、握り8年」という言葉がありますが、岸本さんのお考えを教えてください。
うーん、古い考えだと思いますね。
時間をかけるのは大切ですし、一人前になるためには時間がかかるのも事実です。しかしながら、私は早く色々な事を習得していった方が良いと思います。
この質問は用意させてもらっていたのですが、意外でした。岸本さんも職人気質なイメージがありましたので。
昔は鮨職人を志す人が多くいましたし、鮨職人の人口も多かったです。もちろん厳しい世界である事には違いませんが、ライバルを育てないという目的もあったかもしれませんね(笑)
当時と今とでは、時代が違います。「美味しい」と言えるものが、安く手軽に食べられるようになりました。
下積みが大事ではない、とは言いません。しかしながら、技術やその仕組みについては、どんどん学んでいった方が良いと思います。
精度を上げて自分が技術をモノにするまでは、どのみち時間がかかるものですから。
先程の質問と関連しまして、鮨職人の方に一度聞いてみたかった質問がありますので、是非聞かせてください。ホリエモンこと堀江貴文さんが、過去にTwitterで寿司職人について「何年も修行するのはバカだ」とツイートされて炎上していたのですが、どう思われますか。
知りませんでした(笑)
うーん、私は間違ってはいないと思います。努力次第では目標に近付けます。志を高く持っている人間には早く教えて、人材を育てていくべきです。
それに私自身、まだまだ未熟だと思っていますよ。生涯修行の身です。
鮨職人に大事なものは
最も、かぁ。それは難しいな。
…うん、でもバランス感覚ですね。ネタとシャリのバランス、指先のバランス感覚、味覚的な意味でのバランス感覚もそうだろうし。
例えば、お店でご来店された時は小さく握る、お持ち帰りの時は大きく握る、など握り方も違います。バランス感覚が一番ですね。
鮨職人を目指す若者にメッセージ
見習いの鮨職人、今後鮨職人を目指す若者にメッセージをお願いします。
繰り返しになってしまいますが、昔と今とでは時代が違います。志を持っている方は、様々な事を学んでいくべきです。
師匠でも、兄弟子にでも良いだろうし、学びたい事はお願いする、わからない事は質問する、どんどんアクションを起こしていってください。
厨房の中でも、例え厨房の外でも。お酒の席で聞くもいいでしょうし(笑)

仕込んだネタを丁寧に並べる岸本博之さん
お客目線での「回らないお寿司屋さん」
さて、ここからはお客さんとして、私が聞いてみたい事を聞かせていただこうと思います(笑)
敷居の高さはなく、色々なお客さんに来店してほしい
冒頭でも少し話が挙がりましたが、若い方は「回らない寿司(鮨)屋」は敷居が高く、抵抗がある方もおられると思います。簡単に言ってしまうと、値段が高いのではないか、とか、自分は場違いなのではないか、と感じる方もおられると思います。
岸本さんのお考えをお聞かせください。
場違いだなんて、とんでもないです。確かに、そういったお店も中にはありますが、うちに限っては違います。
若い方にもどんどん来ていただきたいです(笑)
回らない鮨屋は値段が書いていないお店も多いのですが、鮨割烹きしもとでは全てのメニューに値段を記載するようにしていますし、リーズナブルなお値段で食べられるネタもご用意しています。
お会計の際に、驚くような値段になる事はないですよ。
言われるまで気付きませんでした。そういえば、全てのメニューに値段が書かれていますね。
はい、そうなのです。レギュラーメニューとその日のお品書き全てに、値段を記載しています。職場のお付き合いでも、お友達同士でも、カップルでも、色々な方に食べていただきたいです。
お好きなものを、好きな順番で
わかりました。
敷居の高さに関連する話が続いてしまって申し訳ないのですが、「注文してほしいネタの順番」やこだわり等はありますか。
鮨割烹きしもとでは自由に好きなものを好きな順番で召し上がっていただきたいです。確かに、和食の場合は薄味のものから順番にお出しする事もあります。
しかしながら、お口直しをしていただくためにガリがあるのです。お客様がその時食べたいものを、喜んで握らせていただきます。
専門用語を使われるお客さんは慣れている方だな、と思いますね。例えば玉子を「ギョク」、醤油を「ムラサキ」、寿司の古さで「アニキ」「オトウト」とか。
専門用語とは違う話になってしまうのですが、つい先日もお詳しいお客様が来店されました。
、陳列してある穴子を見て「背開きなのですね」と、声をかけてくださりました。
まぁ、あまり気にされなくてもいいですよ(笑)

メニュー表の裏に記載された、文字通りの裏メニューを見せてくれた。
これからの「鮨割烹きしもと」、これからの岸本博之
今後の目標
もう少し知名度を上げて、お店を軌道に乗せたいです。お店を大きくしたいし、弟子もほしいですね。
現場にはずっと居たいですね。でも、完全に任せられる人間が現れたら出ないかも。
…。
いや、現場にはいつまでも経ち続けたいです。
是非一度覗いてみてください。
最後に、このページを読まれている方、また
鮨割烹きしもとのお客様にメッセージをお願いします。
米子駅前で
鮨割烹きしもとをさせてもらっている岸本です。本格的な鮨を手頃なお値段から、お召し上がりいただけます。若い方も歓迎です。
また、パンフレットを持参いただきますと、生ビール、またはソフトドリンク1杯サービスさせてもらっています。
場所は少しわかりにくいかもしれませんが、是非一度覗いてみてください。
本日の鳥取×働く人vol4は、
鮨割烹きしもとの岸本博之さんでした!ありがとうございました。
インタビューを終えて
職人気質と柔らかな考えを兼ね備えた、鮨職人さんでした。
これからお寿司屋さんに行った時は、穴子の開き方に注目!
岸本博之さん、ありがとうございました!
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山陰ペディアの名ばかり委員長。
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本業はWebプロデューサー。
好きな事は、ゲーム・アニメ・お酒を飲むこと、歌うこと。
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